車の個人売買に念書や契約書は必要?
フリマアプリやオークションが浸透してきた現代の日本には、車の個人売買は決してめずらしいものではなくなりつつあります。
売る側と買う側の双方に業者を通して売買するよりもメリットがある個人売買ですが、すべてが自己責任です。
知り合い同士での取引であってもトラブルやアクシデントが発生する可能性があるため、心掛けるべき点の一つに念書が挙げられます。
念書を作成してもらうことで、「いざ」に備えることができますが、そもそも念書とは何を意味するものなのかや、なぜ念書が必要なのかなどについて解説していきましょう。
車の個人売買における「念書」とは?
念書(ねんしょ)とは、車の個人売買だけではなく、個人間のやり取り全般にて用いられているものです。作成者が提出先に約束をする書面を指すもので、法的効力もあります。
例えば譲ってもらった側が「もしも譲ってもらった車が故障しても修理費を請求しません」と念書を作成するケースもあれば、譲った側が「譲った車が譲渡後1ヶ月以内に故障したときには修理費を負担します」と念書を作成することもあります。
基本的には権利を有する側が義務を負う側に求めるケースが一般的ですが、車の個人売買ではさまざまなシチュエーションが考えられますので、譲ってもらった側が念書を作成するケースもあれば、譲る側が念書を作成するケースもあります。
一般的に、念書を取ったり作成するケースとしては下記が挙げられます。
- 約束の内容を証拠として残したい
- 念書を取ることで抑止力にする
- 問題が起きた場合にスムーズに解決するため
自動車の個人売買の場合、内容の証拠化と問題が起きた際のスムーズな解決のために作成されることがほとんどです。
車は劣化・消耗するものであり、車の内部がどうなっているのかを完全に把握することが難しいので、外から見ると問題がなさそうでも、譲渡した直後にトラブルが発生してしまうケースがあります。
トラブルが起きた際でも念書を用意しておけば誰が責任をとるのかを明確にできますが、念書は下記に該当する場合、無効となる場合があります。
- 公序良俗に反する内容
- 念書のない湯が強制法規に違反する
- 念書作成時に作成者に意思能力がない
- 念書の内容が不正確
また、下記に該当する場合には取り消しとなる場合もあります。
- 錯誤によって作成された場合
- 詐欺や脅迫によって作成された場合
- 法定代理人の同意のない未成年者の作成
つまり、念書は法律に基づいて作成されなければ、法的効力を発揮しません。
念書と契約書の違い
念書の特徴を知ると、念書とは契約書のようなものだと思う人もいるかもしれません。
しかし、実際には念書と契約書は異なるものです。
例えば契約書、合意書、覚書はいずれも当事者における合意事項を記録したものであり、名称こそ異なりますが、意味合い、さらには法的効力もほぼ同じものとなっています。
わかりやすく言えば、契約書や合意書、覚書は「双方の合意」があって成立するものです。
一方の念書とはいわば「相手への宣言」であり、は相手の同意は関係ありません。
車の個人売買であれば「譲渡後一か月以内に壊れたら修理費を出します」の念書は、あくまでも譲渡する側の意志だけが記載されています。
契約書の場合、この文言だけではなく「その点について双方合意しています」といった文言も加えられることでしょう。
「一方的」という表現は少々大げさではありますが、念書はあくまでも一方的に義務を負うと宣言するものであるのに対し、契約書は双方が合意したことを記録に残すものです。
微妙なニュアンスの違いではありますが、念書と契約書は決して同じ物ではありません。
車の個人売買時に念書は必要なのか
今は個人売買が手軽に行える時代です。知り合い同士の個人売買や、ネットによる見ず知らずの人間との個人売買もありますが、どのようなシチュエーションであれ、個人売買では念書を準備すべきだと言えます。
その理由としては下記が挙げられます。
- 車の状態が未知数
- 口約束ではトラブル発生時に問題が肥大化する
- 口約束では義務を履行しない可能性がある
まず、先述したとおり車というのは完全に状態を把握することが難しく、前日まで問題なく乗車していたものの、翌日急に動かなくなることもあります。
つまり、個人売買で譲るまでは問題なく動いていたものの、譲った直後に動かなくなってしまう可能性もゼロではありません。
また、その点を見越して口約束をしていたとしても、いざ問題が起きた時には「言った」「言ってない」の水掛け論が発生する可能性もあります。
さらには、スムーズな取引のための抑止力としても機能します。
車の個人売買は、金銭の授受だけで終わりません。
名義変更を行わなければ、法的所有者が変わらないので、税金はもちろん事故などの何らかのトラブルが起きた際の責任問題にも発展しかねません。
これらの問題を防ぐためにも、速やかな名義変更が求められます。
を交わしていないと、いつまで経っても名義変更を行ってもらえず、法的権利を含めての個人売買が完了しません。
速やかに名義変更を行ってもらうことを約束してもらうためにも、念書を作成しておくべきでしょう。
車の個人売買時に作成する念書の必要項目1. 購入する意思と対象となる車のデータ
車の個人売買時に作成する念書に記しておきたいのが購入する意志、そして対象となる車です。
「購入する」との意思表示をしてもらわなければ、最悪「本当は欲しくなかった」「押し付けられた」といった言い訳からトラブルに発展する可能性があります。
さらに、車種・カラーリング・走行距離・外観上の特徴などの車のデータも記しておきましょう。
車種の特徴・状況を細かく記載すればするほど、トラブルが発生した際に「自分が譲った車」だと証明できます。
もしも問題が起きた際「買うとは言っていない」「買う気はなかった」と言われてしまうと、購入意欲の立証が難しくなります。ともすれば「押し付けられた」と判断されてしまい、本来であれば相手側の問題でありながら、自分自身側に責任が発生することになってしまいます。
「個人売買の意志がある」ことを証明するためにも、まずは購入意志を記録しておきましょう。
車の個人売買時に作成する念書の必要項目2. 名義変更の期日とそれまでの責任の所在
先述したとおり、車の個人売買は金銭の授受だけで終わりません。
自動車は誰が所有しているのか、どこに保管するものなのかを証明する必要があります。
自動車業者からの購入であればこの点はすべて自動車業者側が行いますが、個人売買の場合、当事者のいずれかが行うことになるのです。
さらには、車を所有しているとかならず税金が発生するので、名義変更をしていないと元の所有者に税金の支払いが督促されます。
もしも「もう譲った車」だからと支払いを拒否したとしても、税金である以上支払いの督促が続くため、名義変更の期日の設定は重要です。
また、名義変更を行うまでに事故を起こしてしまったり起こされたりした場合の責任の所在も決めておきましょう。
車が事故を起こした場合、基本的には運転手の責任となるのですが、場合によっては所有者にまで責任が及びます。
元々の所有者とすれば、手放した後のことで責任を負いたくはないはず。その点を踏まえ、名義変更をいつまでに行うのか、それまでに起きたトラブル等の責任は誰が負うのかなども記載しておきましょう。
車の個人売買時に作成する念書の必要項目3. 売買代金と支払い方法・支払い時期
念書には、車を「いくらで」売買するのか、値段や支払い方法・時期も記載しておきましょう。
お店であれば車体価格をホームページや購入契約締結時の領収書・レシートなどで簡単に確認できますが、個人売買では「後からの確認」が難しいです。
特に支払いが確認できない場合、「いくら支払ってもらうのか」の記載がなければ、相手に真っ当な請求をすることもできません。
支払い方法や支払時期も大切ではありますが、まずは車の売買代金を必ず記載しておきましょう。
支払い方法・時期はいずれも大切ですが、重視すべきは時期です。
支払い時期が記載されていないと、いつ支払うのかが記録されていない状態となってしまうため、例えば「毎月25日の支払い」と口約束していたとしても、記録がないので支払っていない側としても「期日が分からなかった」「支払う準備をしていた」と、いくらでも責任から逃れることができてしまいます。
金銭に関してはトラブルに発展しやすい部分なので、念書に必ず記載しておきましょう。
車の個人売買時に作成する念書の必要項目4.本体代金以外の費用負担(支払い済みの自動車税や車検代、車の陸送費などの明細)
自動車の個人売買は、自動車税や車検費用に関して、支払い済みであればどのような条件にするかも話し合う必要があります。
自動車税や車検は自動車を保有している人間が必ず支払い、あるいは行わなければならないものです。
自動車税が未納であれば督促が来ますし、やがては自動車そのものを差し押さえられてしまいます。車検を受けていない車は公道を走らせることができません。
そのため、これらの支払いは所有者の義務ですが、譲渡した場合「すでに支払ってもらっているからそれでOK」とするか、「いくらか負担する」にするかは、当事者同士で決めることです。
そして、当事者間で決めたことは念書に記載しておきましょう。
車の陸送費、譲渡直後のメンテナンス費用も同じく念書に記しておくと、より安心できます。
お金はトラブルに発展しやすい部分なので、念書にて記録化しておくことで、トラブルに発展した際のルール・根拠として話を進めることができます。
車の個人売買時に作成する念書の必要項目5.車引渡しの時期およびその方法
車の引き渡し方法・時期についても念書に記しておくことをおすすめします。
ツイッターや掲示板などを利用すれば、個人売買は見ず知らずの人とも行えるようになりました。
極端な例ですが、沖縄に住んでいる人が北海道の人と個人売買することも不可能ではありません。
その際、話し合いはメッセージやアプリを通して場所を問わずに行えますが、車の引き渡しは実際に足を運ぶことになります。
近くであれば負担は軽いですが、遠くであればあるほど、手間・費用がかかりますので、取り決めたことを念書にしておきましょう。
また、車の引き渡し期日を設定しておかないと、取引が先延ばしになってしまうリスクがあります。
「なるべく早く」と口約束を取り交わすだけでは、一方の都合で引き渡しができなくても「なるべく早く渡せるよう頑張っている」と主張されてしまえば、それ以上責任を追求できません。
いつまでに、どのような方法で引き渡すのか。明確なボーダーラインを設定するためにも念書に記載しておきましょう。
車の個人売買時に作成する念書の必要項目6. 契約違反に対する罰則
もしもですが、個人売買で定めたルールを破った場合にはどうするのかも記載しておきましょう。
人間は罰則があると「罰を受けたくない」との心理が働くので、罰則を規定することで相手も取引に真摯に向き合うことになります。
もしもですが、念書に罰則が記載されていない場合、「約束を破ったところでペナルティがないから」と、簡単に約束を破ったり、なかなか話を進めなかったりといったことが懸念されます。
罰則は相手に受けてもらうためのものではなく、ルールを破らないよう抑止力として機能しますので、念書に記載しておきましょう。
車の個人売買時に作成する念書の必要項目7.故障・クレームについての対応
新車でさえ、何らかのトラブルが発生することがあるため、それまで乗っていた車にトラブルが起きても不思議ではありません。
中古車に不備や故障があった際にどうするのかもまた、念書に記載しておきましょう。
故障してしまった場合はどちらがどこまで責任を負うのかや、クレームを受け付けるのかなども念書に記載しておくことで、実際に車が故障してしまった際にスムーズに問題を解決できます。
念書に記載がない場合、どちらの責任なのかで揉める可能性が高いです。
車の個人売買時に作成する念書の必要項目8.名義変更完了後の報告義務
名義変更を終えた際の報告義務も、念書の項目に入れておくことをおすすめします。
名義変更の完了を報告しなければ、取引の進み具合がわからず期日までに名義変更を終えてくれるのかと不安を招くことになります。
名義変更の報告を受けてこそ、「個人売買終了」となり、安心できるので念書に記載しておきましょう。
念書違反をしたら個人売買の車はどうなる?
念書を作成したものの、念書違反をされてしまった場合はどうしたらいいのでしょうか。
その場合、念書内で「念書違反をした場合の対応」を明記しておくことで過失・責任を追求できるようになりますが、念書を用意しなかった場合に起きるトラブルをシチュエーションごと解説していきます。
個人売買で念書を書かなかった場合のトラブル1.買った人が名義人の変更をしてくれない
個人売買後、名義変更を行わないということは、車はいつまでも元の名義人のままです。
名義が元のままなので任意保険に加入していない可能性も高く、もしもですがこの状態で事故を起こしてしまうと、所有者責任を問われます。
既に譲った場合ではあっても法的な名義は譲った側にあるため、警察からの取り調べを受けることになり、場合によっては刑事責任を問われることにもなりかねません。
また、事故が起きてないとしても法的な所有者は売却者側から移っていないので、税金の請求は元の所有者に督促されます。
さらに購入者が車を放置しようものなら、警察からは元の所有者に連絡が入りますし、撤去費用まで請求されることもあります。
個人売買で念書を書かなかった場合のトラブル2.買った車に故障・不備が見つかった
個人売買で購入した車に、何らかの不備が見つかるケースはめずらしくありません。
悪意を持って不良車を売りつける人間もいれば、悪意がなくとも車の劣化・トラブルを知らず、売却してしまう人もいます。
いずれにせよ、車に問題が起きたとしても念書がなければ販売者に責任を追求することができません。
明らかに購入前から問題があったであろうトラブルが発生したとしても、念書がなければ売却者側は「知らない」「そちらが壊したんじゃないか」と主張することでしょう。
念書がない場合は責任を問われることもないため、売却者側はシラを切る可能性が高いです。
明らかな初期不良ではあっても自分自身で修理しなければならない場合や再度車を動かすことができない場合には、廃車にしなければなりませんが、費用はすべて自己負担となってしまいます。
個人売買で念書を書かなかった場合のトラブル3.契約時に決めた代金以外の費用を請求された
車の個人売買では、車体以外にも費用が発生します。
だからこそ費用に関しても念書に記載しておくべきだとお伝えしましたが、もしも念書に記載しなかった場合、費用を請求されたとしても断ることが難しいでしょう。
もしもですが、譲渡前の段階で請求され、「支払わなければ車を渡さない」と告げられた場合、追加費用を支払わなければ車を手にすることはできません。
しかし、念書に記録されていないので、「車体代金以外を支払う必要はない」と主張することができないのです。
念書に「追加費用は支払わない」「契約時以外の費用は負担しない」との文言があれば支払う必要はありませんが、念書に残しておかなければ、結局は当事者同士で解決するしかありません。
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念書に関しての説明を見て、車の個人売買は何かと面倒だと感じた人も多いのではないでしょうか。
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